VR HMD、ドローンに共通する特性

フレーム(枠)のない360度の仮想的な視界が得られる3D VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)のほか、ドローン、スマートウェラブル、IoT(Internet of Things)といったものには共通する特性・特徴がある。
それは、「一人称」ということだ。つまり他人ではなく自身の視点からの仕切り直しができる特質・特性がある。

SNSや動画共有サービスといったソーシャルメディアも一人称である。
ソーシャルメディアに含まれてきたブログ、電子メール、掲示板、イメールマガジン、メーリングリスト、口コミサイト、Q&Aコミュニティのほか、共通の興味、デジタル化によって、さまざまな分野で一人称化が進んでいる。これはメディアに限ったことではなく、電子機器・端末、自動車、ロボット、コンテンツ、サービスにも及んでいる。

ソニーVR
Photo by dronepicr [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons(2015)

一人称とは、主役・主人公であり、ライブ感や高臨場感が体験できることであり、生(ナマ)の感覚でもある。
プレイするだけでは飽きたらず、カスタマイズすることはもちろん、自らつくり出すことにもかかわろうとする。どれだけ共感できるか、感情移入できるか、没入できるか、といったことが重要視される。
別の言い方をすれば、上から目線ではなく、下から目線であり、上意下達やトップダウンではなく、下意上達、ボトムアップの流れである。ときには、ナルシシズム(自己愛・自己陶酔)を伴った「私小説」化現象と受け取られることもある。

人は他とのかかわりの中で苦労・苦難にも遭い、成長していく。そのため、一人称化現象が続いていくと、人間は孤立化し、電子空間やVR(仮想現実)空間への滞在が長くなり、生活圏が小さくなって小粒になっていくという危険性もはらんでいる。
そこには、孤立だけでなく、「一人暮らし」「孤独」「自己中心」といったことと、それに伴う「繋がり」「共有」「連帯」のほか、ときに「反抗」「敵対」といったメタファーがあることも見逃せない。

一人称化現象が導く未来とは

ブロードバンド・インターネットとスマートフォンやタブレット端末の普及で、ITが身近になり顧客の視点に立って経験・体験のデザインを考え直すことができるようになった。企業は、それぞれの顧客に合わせたエクスペリエンス・デザインが求められるようになってきている。
いまIoT時代が到来し、これまでの状況からさらに前進して、これまでなら莫大な費用をかけなければならなかったことが、比較的容易になって、かつてない経験・体験を体得したり、提供したりすることが可能になっている。

製作費がかさむ映画やテレビドラマだけでなく、TVCM、ミュージックビデオ、プロモーションビデオ (PV)において、ドローン(マルチコプター)やアクションカメラ(ウェラブルカメラ)を使った映像やイメージ、シーン(場面)がどんどん増えてきている。
これにより、視聴者やユーザーはまさに自身がそれを体験しているような視野を得ることができ、臨場感が増感する。

頭の動きに高精度で追随する3D VR HMDは、これまでにない体験をユーザーに与えている。映像・CGの解像度とサラウンド効果がさらに向上していけば、人間の五感と同期し、リアルとバーチャルの境目がなくなってしまう可能性もある。

いかにこれまでにない体験・経験を生みだし、顧客の感情を高ぶらせるか。それは、経済だけでなく社会においても重要な鍵となっている。

(清水メディア戦略研究所 清水計宏)
トップ画像:Photo by By Colin and Sarah Northway from Wherever, We find ourselves (Kyle in VR) [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons(2015)