●サムスン電子がスマートフォン、モバイル決済でAppleを追い越す

 米調査会社Forrester Researchによれば、モバイル決済市場は2014年に500億ドル規模になり、2019年までに1420億ドルになると予測している。また、台湾のIT市場調査会社TRI(Topology Research Institute)は、モバイル決済市場が2016年に世界で対前年比37.8%増の6200億ドルとなると推計する。

 世界のスマートフォン(スマホ)市場で苛烈な競争を繰り広げている米国のAppleと韓国のサムスン電子は、モバイル決済サービスの領域においても激しく市場を争っている。
 つまり、Apple Pay(アップルペイ)とSamsung Pay(サムスンペイ)がそれだ。
 決済サービスにおいても、後塵を拝していたサムスン電子だが、いまや先行するApple Payをしのぐ勢いをつけている。最大の市場である中国においてはSamsung Payが力をつけてきており、他の諸国においても、Samsung Payの勢いが強まっているのだ。

 日本国内では、ソニーが開発した非接触ICカードのSuicaやKDDI(au)の契約者向けカードのau wallet、NTTドコモのおサイフケータイ、楽天スマートペイといったように進んでいるが、グローバル競争においては蚊帳の外に置かれている。
 日本ではFeliCa(Type-F)を採用したインフラが発達しているが、海外のほとんどの地域では 世界標準のNFCであるType-A/BをベースにしたICカード技術の利用が進んでおり、これがグローバル化を阻む原因の一つである。

 2020年のオリンピックに向けて、国の指針である「日本再興戦略」には資金決済の高度化も盛り込まれている。世界ではITを駆使した金融サービスであるFintechが台頭しており、決済サービスがさまざまな産業のエコシステムを支えるバックボーンにもなっている。

 日本を置き去りにして、世界のモバイル決済市場で何が起きているのか。勢力争いを続けるSamsung PayとApple Payについて、次回さらに詳しく追っていく。

(清水メディア戦略研究所 清水計宏)
トップ画像:Photo by By Scott Lewis [CC BY 2.0], via flicker(2015)