好みのクラフトビールを醸造できる「FreeStyle PicoPak」

米シアトルに本拠を置くPicoBrewは、原材料セットを使えば、収穫して1週間未満の穀物から約2時間で5リットルの高品質のクラフトビールをつくることのできるビール醸造装置「FreeStyle BrewCrafter」を開発・製品化している。この装置は、Wi-Fiに対応し、モバイルデバイスで制御できるIoT製品。

予めパッケージ化された原材料「PicoPak」を使って、この製品にセットすれば、ビールづくりを完全自動化できる。PicoPakは、オンラインストアで注文でき、これで5リットルの樽ビールをつくることができる。醸造プロセスはは、原材料を正しく加え、数種類のボタンを押して、あとは待つだけでいい。

ただ、この工程は約2時間で終わるものの、その後に発酵が必要で、ライトビールならば2日間、コクの深いベルギービールをつくるのであれば2週間程度かかる。

従来であれば、ライトビールでも数週間の醸造が必要であったことを考えれば、かなり短縮化した。発酵工程では、5リットルの容器に移し、イーストを加えて冷蔵する。

Wi-Fi機能により、世界各地から好みのレシピをダウンロードできる。専用アプリを使って、穀物、ホップ、酵母をドラッグアンドドロップするだけで、カスタムのクラフトビールを簡単に作成できる。醸造した後、製造部品はすべて食洗機で洗えるため、手入れは簡単。醸造後には装置は毎回蒸気で自動洗浄もできるようになっている。装置の幅は12インチ、重さは31ポンド。

米オレゴン州アシュランドのローグ醸造所をはじめ、米国内だけでなく、カナダからペルーまで世界で約160のクラフトビール醸造所と提携してPicoPakを提供している。現在、70種類のクラフトビールのレシピが入手でき、随時追加していく予定。

PicoBrewは2015年12月にKickstarterでまず約140万ドルの資金調達にして、資金提供者には2016年から599ドルでキットの形で製品を提供している。完成製品は999ドル。

PicoBrewは、ビール醸造所がビール成分のコンビネーションを公開し、販売ロイヤリティを得ることができるオンラインストア「PicoBrew BrewMarketplace」も開設した。これは、ビール醸造所とビール愛好家向けで、どのようなビール醸造所や自家醸造業者もデベロッパープログラムに参加し、PicoPakを開発することで、ロイヤリティを獲得することができる。

この製品のほか、地ビール醸造所向けに設計された大型装置「Zymatic」(1799ドル)もある。また、標準的なビールサーバー(kegerator)につなぎ、温度、量、ビールの種類などをOLEDディスプレイで確認できるWi-Fi対応の「KegSmarts」という製品も製品化している。もちろんモバイルデバイスから制御できるほか、カメラで注ぎ手の顔を認識し、ディスプレイには氏名を表示したり、ついだビールの分量も表示する。

各製品の部品やソースコード(QT, C++, Python)はすべて公開されており、技能さえあれば同じものを作ることもできる。

PicoBrewは、元マイクロソフト幹部で食品科学者のBill Mitchell(現CEO)とその兄弟のJim Mitchell(共同創設者)の両氏と、エンジニアのAvi Geiger氏によって2010年にシアトルに創設され、2013年に事業を開始している。現在、33人の従業員がいる。Bill Mitchell氏は、マイクロソフトで PDA、スマートフォン、ウェアラブルコンピューティングを開発し、約20年間在籍した。